更年期障害

更年期障害とは

更年期女性の身体に影響を与える女性ホルモン(エストロゲン)は、環境や年齢によって卵巣からの分泌量が
大きく異なります。思春期には分泌量は多く、性成熟期が終わって更年期になると急に少なくなります。
分泌量が急に減少することで身体は多くの影響を受けます。

女性の一生とエストロゲンの変化

更年期になると、エストロゲンが急に少なくなることで更年期症状である、めまいやほてり、動悸などが起こり、
普段の生活がうまく送れなくなることがあります。
体調が良くないと感じるのはエストロゲン不足が原因かもしれませんが、心の状態や周りの環境も影響するため、感じ方には個人差があります。

更年期から罹りやすくなる疾患

更年期になると、エストロゲンが急に減ることで骨粗しょう症、動脈硬化や脂質異常症などの生活習慣病に罹りやすくなります。
普段から運動する、しっかりと寝る、バランスの良い食事をするなどの健康的な生活を送ることが重要です。
更年期を過ぎると様々な疾患に罹りやすくなるので、健康診断を毎年受けて健康を保てるようにしましょう。

更年期の症状

症状としては、①自律神経失調症状、②精神的症状、③その他の症状に分けられます。

① 自律神経失調症状

顔のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)、異常発汗、動悸などの血管運動神経症状と発汗、不眠など

② 精神的症状

情緒不安定、イライラ、不安感、抑うつ、不眠など

③ その他の症状

腰痛、関節・筋肉痛、嘔吐、食欲不振、乾燥感、湿疹、排尿障害、頻尿、外陰部違和感など

まだはっきりとした更年期障害の診断基準はないですが、上のような症状を参考にして判断します。
当院では自己チェック表を使って更年期症状の状態を評価していますので、不安な方は来院前にご確認ください。

更年期の原因

卵巣の働きが低下することで更年期障害が起きます。
女性ホルモンの分泌の減少によって、肉体的な変化、社会環境や心理的、精神的要因が様々に影響し合って症状が起こると言われています。

検査方法

診察主に女性ホルモン検査を行います。
他の疾患を除外するために甲状腺ホルモンの血液検査も行います。
更年期は甲状腺に問題が起きやすく、閉経後の女性の2.4%は甲状腺の疾患の治療が
必要になると報告されています。
超音波検査も行い、甲状腺に問題があれば提携先の高度医療機関を紹介します。
また、更年期障害のお薬はホルモン関連のものが多いため、お薬を使用する前に、
乳がん、子宮体がん、子宮頸がんではないことを確認するのも大切です。

更年期の治療

ホルモン補充療法

更年期障害は、卵巣から分泌される女性ホルモンの量が少なくなることが原因です。
主に女性ホルモン(プロゲステロン+エストロゲン)を補充します。貼り薬、塗り薬、飲み薬などを使用します。
貼り薬は、汗をかきやすい方や肌が弱い方にはお勧めできません。
飲み薬は、何度も飲み忘れると不正出血になりやすいため、服用を忘れやすい方にはお勧めできません。
当院では患者様一人一人に合わせてメリットとデメリットを考慮してお薬を処方します。
ホルモン補充療法は、子宮体がんや乳がん、虚血性脳疾患や静脈塞栓症になったことがある方など実施できない場合もあるため、注意が必要です。

プラセンタ療法

プラセンタ注射は、日本国内の安全なヒト胎盤から製造され、1956年に承認を受けた注射薬で、様々な種類のアミノ酸が含まれています。
ホルモン療法を行いにくい患者様でも処方できる可能性があります。
1ヶ月で15回までは保険が適応されますが、保険で認められていない血管内に注射する方法や2アンプルを同時に注射する方法は対応していません。
プラセンタを始めて約2ヶ月は週に2回注射するのがお勧めされていますが、自分が通いやすいペースで通院し続けることが大切です。
美容効果もあるので一度お試しください。

※現在プラセンタ注射が入手困難となっているため、一時的に取扱を休止しております。再開目処がつきましたらご案内致します。

漢方療法

当院では、プラセンタやホルモン療法が行いにくい方に漢方療法をご提案していますが、漢方を試したい方には始めから使うこともあります。
お薬やホルモン補充にはまだ抵抗があるという方には取り入れやすい治療法になります。
いずれも患者様と話し合った上で処方します。

低用量ピル

月経がまだある若い方で更年期症状のような症状が出始めている方には、低用量ピルをお勧めすることがあります。
ホルモン補充療法で不正出血が起きやすい方にもお勧めです。
原則として、どの治療法も保険の範囲内のものです。

よくある質問

テープで赤くかぶれやすい場合は
どうしたらよいですか。

まずはテープを貼る部位を違うところにしてください。
どこに貼っても赤くなる場合はプラセンタや飲み薬への変更をお勧めします。

不正出血や生理のような出血が
あります。

当院では、月経のような出血が起きないように黄体ホルモンと卵胞ホルモンのお薬を少ない量で飲み続けたり、貼り薬を使ったりしています。
治療開始直後は不正出血が認められることがありますが、症状が持続するようであれば、一度ご連絡下さい。

お薬をやめる時期はいつですか?

基本的に55歳頃でやめる方が多いですが、お薬をやめるタイミングははっきりとは決まっていません。
長期間お薬を使うメリットとデメリットをしっかりと患者様に理解していただいた上で、終了する時期をご本人様に決めていただいています。

40歳ですが、もう1年間月経がきません。妊娠も望まず、更年期様の症状は一つもないですが、治療しなくても大丈夫ですか?

まずはホルモン値を検査して、閉経かどうかチェックします。
通常40歳になる前の閉経は早発閉経と呼びますが、それに近い状態であれば一般的な日本人よりも約10年早く閉経することになり、
卵巣機能が悪く女性ホルモン量が少ない状態が長く続くことになります。
老化現象(卵巣機能欠落症状)や骨粗鬆症が起こるリスクとなりますのでホルモン補充療法を開始することをお勧めします。

42歳で、1ヶ月ごとに月経が
あります。睡眠障害やイラ立ち、
のぼせ感が辛いです。
ホルモン補充療法は可能ですか?

月経が定期的にきているので、排卵はされているものと考えますが、念のため血液検査でホルモン値をチェックし、
結果により低用量ピルや睡眠薬、漢方薬を試していきます。

更年期障害検査(ホルモン検査)の費用

更年期障害が疑われる場合の検査は保険診療にて行います。