よくある婦人科疾患

不正出血とは

不正出血とは、ホルモンの異常や様々な病気により月経以外に性器から出血することを不正性器出血と言います。
新しい出血は赤いですが、古い血液は茶色、ごくわずかな出血では黄色のこともあります。
月経時以外の排卵による出血など、疾患ではない場合もありますが、重篤な疾患が潜んでいることがあります。
異常に気付いたら早めに当院にお問い合わせください。

不正出血の受診目安

以下の症状がある場合、すぐに婦人科を受診しましょう。

不正出血の原因疾患

  1. 炎症によるもの:
    病原菌感染、萎縮性腟炎、子宮内膜炎
  2. 卵巣機能不全、月経異常など
  3. 良性の腫瘍:
    子宮頸部または子宮内膜ポリープ、子宮筋腫など
  4. 子宮腟部びらん:
    若い女性には一般的に見られることもありますが、子宮頸がん初期のこともあります。
  5. 悪性の腫瘍:
    子宮頸がん、子宮体がん、卵巣腫瘍、子宮肉腫、腟がんなど
  6. 妊娠に関連するもの:
    流産、異所性妊娠など

不正出血の検査

まずは子宮がん検査と超音波検査を行います。
症状や初見によって血液検査、おりもの検査、性感染症検査、妊娠反応検査などを行います。

不正出血の治療

  1. 炎症・感染が原因の場合:
    炎症を抑え、必要ならば抗菌薬などを使用します。
  2. 卵巣機能不全(ホルモンバランスの変化)が原因の場合:
    まずは日常生活を見直します。疾患が隠れている場合はその治療を行い、必要であればホルモン治療などを行います。
    出血量が多く貧血となっている場合は鉄剤投与も行います。
  3. 腫瘍が原因の場合:
    手術が必要となることもあります。(連携病院へ紹介となります。)
  4. 妊娠が原因の場合:
    安静や止血剤投与などを行います。異所性妊娠の場合は手術が必要となることが多いため連携病院へ紹介します。

子宮筋腫

子宮筋腫子宮筋腫とは、子宮に生じる良性のかたまり(腫瘍)です。
30歳以上の女性の約2~3割に発症する、比較的よくある疾患です。
発生する部位によって漿膜下筋腫・筋層内筋腫・粘膜下筋腫の3つに分類されます。
がんとは違って、命を落とすことはないですが、痛みや貧血などの様々な症状が出たり、
流産や不妊の原因になったりもします。
また、極めて珍しいですが、子宮肉腫という悪性のケースと区別するのが難しい場合があります。

子宮筋腫の症状

代表的な症状は、月経痛と過多月経(出血量が多いこと)です。
貧血になることもあり、尿回数が増える、腰が痛い、月経時ではない出血なども伴うことがあります。

子宮筋腫の診断

超音波検査と婦人科診察で診断します。
手術を検討したり、サイズが大きい時にはMRI検査をしたりする場合があり、
そのケースでは連携先の高度医療機関で検査を受けていただきます。

子宮筋腫の治療

小さくて無症状の場合は治療が必要となることはありません。
治療法は、お薬と手術があり、症状やできた場所によって治療すべきかどうか決まります。
また、年齢や妊娠希望の有無によっても治療方針や手術方法が異なってくるため検査結果をもとに医師と治療の流れを相談します。

子宮内膜症

生理痛子宮内膜症とは、子宮内膜に似た細胞や組織が本来あるべく子宮とは別の部位に発生し
発育する疾患です。20〜30代の発症が多く、そのピークは30〜34才にあると言われています。

子宮内膜症の症状

不妊と月経痛が代表的な症状です。妊娠希望のある子宮内膜症の方の約3割は不妊があるとされます。
月経痛は、約9割の方にみられ、腰痛や下腹部の痛みを引き起こします。
歳を取るとともに痛みがひどくなっていき、重症な方では月経が終わっても痛みが続き、性交痛や排便時痛は比較的多い症状です。

子宮内膜症の診断

超音波検査と婦人科診察で診断を行います。
精査のためにMRI検査を行うことがあり、その際は連携先の高度医療機関で検査を受けて、別の日に当院で結果をお伝えします。

子宮内膜症の治療

治療法は手術と薬物療法があります。妊娠の希望や年齢、症状の重症度や種類などを考慮して一人一人の患者様に合った治療を選びます。
手術をお勧めする際は連携先の高度医療機関をご案内します。

子宮脱

子宮、膀胱、直腸といった骨盤内の臓器が体外に飛び出してしまうことを骨盤臓器脱と言いますが、そのうち、子宮が出てきてしまう病気を子宮脱と呼びます。
通常子宮は靭帯や筋肉によって支えられて固定されていますが、加齢や出産の影響でそれらが緩むことで子宮が腟から体の外へ飛び出してきます。
子宮が体の外にはまだ出ていない状態は子宮下垂と呼びます。

子宮脱になる原因

分娩や外科手術によってダメージを受けた骨盤底筋が加齢により弱くなることで子宮を支えきれなくなり起こります。
高齢で出産経験の多い方は特に発症しやすいと言われています。また骨盤に負荷がかかる立ち仕事、排便するときにいきむ、
女性ホルモンの減少に伴う子宮周辺の組織の変化、肥満、骨盤内の手術などもリスクとなります。

子宮脱の症状

子宮脱が軽症の時は、自覚症状がないことが多いです。
ひどくなると、太ももの間の異物感や腟の違和感が現れます。
下着とこすれて血が出て炎症をもつようになると、いきんだ時などに腟あたりに手で子宮を触れられます。
最終的には子宮が完全に出てきます。

子宮脱の治療

子宮脱の治療は、骨盤底筋体操を行い弱まった骨盤底筋をトレーニングします。
また、ペッサリーリングと言って腟から挿入するリングによって子宮を落ちてこないように支える方法もあります。
また子宮を取ってしまうなど、手術による治療法もあります。

子宮脱の予防

しっかり寝る、適度な運動、規則正しい生活習慣などが大切です。
骨盤底筋訓練は予防にもなるので普段から習慣として行いましょう。
希望があればトレーニングの方法をお伝えします。